はじめに
“やきもの”ほど長い時を経て
人々に愛されつづけてきたものはありません。
“土・炎・水・植物”などの命を享受する自然の力を
最も多く含んでいるからでしょうか。
日々つかわれることで新たな息吹が注ぎこまれたに違いありません。 
落とせば割れてしまう “やきもの”‥‥だからこそ大切に扱われ 掌にのせ 口に触れる
“やきもの”の肌を愛でて手で触れることで「侘・寂」という
日本特有の心を通わせる美意識を享受でき 心静かなもてなしの心も生まれてきたのかもしれません。
大事にされる「やきもの」の魅力をお伝えしてまいります。

群れず独尊を貫く 宇田川抱青・中川自然坊・各務周海・柴山勝ら
真の陶工を探し出し 妙味ある個性とその琴線にふれるべく
眼(まなこ)と心を開き 対峙してきました。
常識にとらわれず、しみじみと見つめ直す‥‥「陶 奈なめ連れづれ」です。
黒田草臣 略歴
黒田 草臣(くろだ くさおみ)
1943年 鎌倉生まれ。
1965年 明治学院大学経済学部卒業。
1965年より陶業に携わる。
2013年 魯山人所縁の大雅堂跡地に「魯卿あん」を開業(しぶや黒田陶苑 京橋店)
「北大路魯山人展」「大備前展」など近現代陶芸家を中心とした展示会を、
自店やデパートなどで数多く企画プロデュースする傍ら、
雑誌・単行本等で陶磁器に関する執筆・監修を行う。
現在:株式会社黒田陶苑(通称 しぶや黒田陶苑)代表          

著書
『とことん備前』(光芸社出版)
『器・魯山人おじさんに学んだこと』(晶文社)
『極める技現代 日本の陶芸家125人』(小学館)
『美と食の天才 魯山人ART BOX』(講談社)
『備前焼の魅力探求 ― 古陶から現代備前まで』(ふたばらいふ新書)
『名工と名品の陶芸史』(講談社)
『やきものは男の本懐である』(basilico)
『終の器選び』(光文社新書)
『陶芸家列伝 魯山人おじさんに学んだこと』(講談社)
ほかに編著多数