2026年01月13日

六古窯のほか‥‥戦後の発見 陶のきた径㉜

珠洲大壺 径35.0  高34.8cm

平安から鎌倉時代に移る12世紀頃、平家から源氏へ、日本は大きく歴史の動いた時であった。

焼物の世界でも日本初の官窯といえる猿投窯の焼締め陶の技術が、同じ愛知県の常滑や渥美に伝承し、その常滑の技術が福井の越前、志賀の信楽、兵庫の丹波焼へと伝わりそれぞれ開窯していく。

同じ頃、猿投や常滑の傘下にはいらず、須恵器を母体にした窯が現れた。能登半島の珠洲、兵庫県明石の魚住、そして備前などである。その後、各窯場の土質と時代に即応した地域の用途に応じた形が生まれてくる。

古珠洲大壺(径35.0 高35.0㎝)

能登半島の先端にある「珠洲」が発掘されたのは昭和36年(1961)のことで岡田宗叡(古陶磁研究家)が石川県能登半島の珠洲市内に古窯址が分布していることを確認されて地元の研究者とともに「珠洲窯」とした。分炎柱をもたない須恵器を受け継いだ窯で、珠洲焼は質も良く越後地方でも大量に使われていた。

日本海側は越前に代表されているが、ほかに石川県の粟津温泉に近い「加賀」もある。常滑の技術をもって赤く発色した甕や壺、擂鉢などを焼いた分炎柱を伴う古窯址が14ヶ所46基の窯跡が発掘されている。

東海地方では400基を超える古窯址が「猿投」で発見されている。

猿投東山101号窯跡 (Wikipedia)
(愛知県名古屋市、2021年(令和3年)11月)

愛知県豊田市猿投山の西南部の丘陵地帯(標高100~200m)には『猿投山西南麓古窯址群』と呼ばれている遺跡があり、ここには400基以上の須恵器窯跡がある。この猿投窯の影響で瀬戸では10世紀後半には灰を掛けた瓷器窯を焼いている。ところが、猿投窯を支えた藤原氏が没落しために11世紀末以降、瀬戸の瓷器窯は猿投窯とともに無釉化の方向へ逆戻りしてしまい、ナント!雑器である無釉の山茶碗を重ねて焼く窯へと転換し…猿投窯は消えていった。のちに、猿投窯の技術は知多半島の「常滑窯」と渥美半島の「渥美窯」にもたらされ、海運の便のよい海沿いの窯として特に「常滑」は活躍していく。

猿投を発見した本多静雄らは昭和38年(1963)には「秋草文壺」(平安)が焼かれた渥美半島全域に古窯址を発見し、「渥美窯」と名付けた。秋草文壷は蔵骨器でありながら中世古窯址のなかで唯一の国宝である。渥美窯は中世前期段階で生産が途絶しまったが、これを契機に雨後の筍のように続けざまに発掘されるようになった。

古渥美窯「秋草文壺」(Wikipedia)

昭和40年(1965)には焼締陶の甕や白瓷系碗が焼かれていた岐阜県可児市の「古城山窯」、熊本球磨の「下り山窯」(1967)、香川の「十瓶山窯」(とがめやま・1967)、石川県小松市で「加賀窯」(1969)。昭和48年(1973)には磐越自動車道建設によって発見された「赤坂山中世窯」など新潟県と福島県境の五頭山麓古窯址群で分炎柱をもつ瓷器系の古窯址や珠洲系技術を導入した「背中炙窯」も発見された。その後、会津若松市の「大戸窯」(1973)、各務市の「美濃須衛中世窯」(1975)、酒田市の「新溜窯」(1976)、大崎市の「三本木窯」と栗原市の「伊豆沼窯」(1977)、西脇市の「緑風台窯」(1978)、美作市「勝間田窯」(1979)、大仙市の「大畑窯」(1980)、富山市の「京ヶ峰窯」(1983)、大島郡徳之島の「カムイヤキ窯」(1983)、石巻市「水沼窯」(1984)、美作市「勝間田窯」(1985)、兵庫の「東播磨窯」(ひがしはりま・1988)能代市のエヒバチ長根(えひばちながね)窯(1988)、白石市の「一本杉窯」(1992)、能登の「志加浦」(しかうら・1999)、鶴岡市の執行坂窯(2002)、岩手平清水町の「花立窯」(2007)など現在まで87ヶ所の中世古窯址の発掘調査がされた。

石川県の「珠洲」と同じく須恵器の伝統を受け継いだ灰色の陶器を生産した中世古窯址として岡山倉敷で焼かれた「亀山窯」、兵庫県明石にあった「魚住窯」など全国各地から途絶えていた古窯址が続々と発見されている。

しかし現在もその伝統を守り焼き続けている“六古窯”は、その響のよさから愛陶家たちの会話のなかで日頃から使われており、すっかり定着してきた感がある。

備前・常滑・信楽・丹波・瀬戸・越前の六古窯を中心に日本陶磁史に大きな影響を与えた中世窯の焼締陶を中心に考えてみたい。

江崎一生 常滑小壺

次回:陶のきた径㉝ 六古窯 「常滑」 

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