2023年11月05日

川喜田半泥子と荒川豊蔵・三輪休和・金重陶陽

川喜田半泥子「泥佛井戸」

川喜田半泥子は桃山陶芸に傾倒する陶芸家を主に交流している。

あることで絶交した加藤唐九郎のほか、小山冨士夫、北大路魯山人、荒川豊蔵、三輪休雪(のちの休和)、金重陶陽、中里無庵、藤原啓などである。

とくに、1942年、半泥子の呼びかけで『からひね會』(※正式には作陶連盟「乾比根会」)を結成した同士である陶陽、休和、豊蔵などと二泊三日、4人一緒に親しく語り合った。このことが以後の陶芸界に大きな影響を与えた、まさに歴史的な会合であった。

それぞれが茶陶に対して深い教養と広い視野を持っていた同士と親しく語り合い桃山再興を謳ったものだ。

京橋の『魯卿あん』では2006年以来、2回目となる『特別展【からひね會 Ⅱ】を開催します。

半泥子先生の作品を中心に豊蔵先生の志野・瀬戸黒、休和先生の萩、陶陽先生の備前の逸品ばかり50点を集めました。


全員が集ったのは結成した時の1度きりだったが、それぞれに交流を深め、日本工芸会が結成されて以後、

豊蔵先生、休和先生、陶陽先生の三名はそれぞれの地で最初の人間国宝となった陶芸家である。


昭和52年(1977)10月、半泥子の没後10年を記念し、天満屋岡山店で「からひね会展」が開催された。

昭和57年11月、没後15年を記念し、岡山高島屋で「からひね会展」が開催された。

からひね会結成時を除いたそれぞれの訪問回数をまとめてみると‥‥


川喜田半泥子は

荒川豊蔵を2回(昭和15年、同17年)

三輪休和を1回(昭和16年)

金重陶陽を6回(昭和11年、同13年、同14年、同15年、同16年、同 24年)訪問している。

「真によい茶碗を作りたい。ほんとうに茶の喫める茶碗を作りたい」半泥子

川喜田半泥子  泥佛井戸  高台
川喜田半泥子 泥佛井戸 高台


荒川豊蔵は

川喜田半泥子を1回(昭和15年)

三輪休和を3回(昭和47年、同51年、同53年)

金重陶陽を3回(昭和17年、同19年、同26年)訪問している。

「甕を作る窯元で地面に埋めた地轆轤を黙々と操るその自然な仕事振りに本当のやきものの仕事はこういうものだ」豊蔵

荒川豊蔵 志野水指
荒川豊蔵 志野水指


金重陶陽は

川喜田半泥子を5回(昭和11年、同14年、同15年、同16年、同24年)

荒川豊蔵を1回(昭和20年)訪問している。

「焼き締まった農民的な土肌の味わい。備前のよさは茶陶にあり。

土に素直に、火に素直に、火に逆らわず、窯焚の時は窯に仕える気持ちだ」陶陽

金重陶陽 備前沓茶盌 銘「訪れ」
金重陶陽 備前沓茶盌 銘「訪れ」

三輪休和 萩花入
三輪休和 萩花入

            

「時を経ても自然と共にあり続けるという不走時流の精神で

時代に流されず己の考えを常に重んじて歩む」三輪休和


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 歴史的には茶道を淵源とした半泥子の庇護のもとに結成された「からひね会」

その後の陶芸界に大きな影響を与えたのは言うまでもないことだろう。

 経験と勘に頼った炎の芸術である「陶芸」は、いま科学的知見に基づく合理的作陶に変わってきた。

それでも「乾比根會」のメンバーのように”土と炎”の結晶ともいえる「やきもの」を自然界にあるものに頼って、深みのある陶芸を追及する陶芸作家がいることを頼もしく思っている。



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